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By arlune2020年3月2日In ブログ

睡眠セミナー第3回【美容と睡眠】

皆様こんにちは!
アルルネ鍼灸治療サロンでございます。

さて本日は、代々木上原「パワースリープ」の睡眠カウンセラー須賀菜穂子先生に、「睡眠」について色々と教えて頂きましたインタビューの第3回(最終回)です。

当サロンにお越しになるお客様にまつわる「睡眠」における様々なトピックを取り上げて、須賀先生に質問してみました。

今回の第3回は、アルルネ鍼灸治療サロンで最も重要なテーマ、「美容」と睡眠についてです。

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(5)美容のために その1

さいち:睡眠不足によって肥満傾向になる(太りやすい体質になる)と言われていますが、そのメカニズムを詳しく教えて頂けますか?また、太りにくい体を作る睡眠のコツがあれば、教えて下さい。

須賀:

 睡眠不足によって肥満傾向になると言われますが、日本の疫学調査では、睡眠時間が短いと、成人では1.5倍も肥満になりやすいという報告があります。また、睡眠時間と肥満の関係を調査したところ、一晩に7~8時間の睡眠をとると、肥満になるリスクが一番低いことが判明しました。睡眠時間は長すぎても短すぎても肥満度は上昇するU字型の関係が認められています。さらに、肥満を介したメタボリック症候群の割合も増えます。

 睡眠と肥満の関係は、睡眠時間(睡眠不足)だけでなく、睡眠段階(睡眠の深さ)や生活リズム(夜型で不規則な睡眠習慣)なども、肥満に影響を及ぼします。

 睡眠と肥満のメカニズムに関しては、まだまだ不明な点が多いのですが、睡眠中に分泌される食欲に関連する3つの物質が特に重要です。

①レプチン

 まず1つ目は、満腹を伝える働きをする「レプチン」というホルモンです。悪い睡眠の時は、レプチンの分泌が低下することで、食欲が抑制されにくくなり、食べても満腹感が得られにくくなります。
 そのため食欲を満たすために、通常よりも多く食べてしまいがちになります。

②グレリン
 2つ目は、食欲を増進させる働きを持つ、「グレリン」というホルモンです。グレリンの分泌が増えることで空腹感が増え、ついつい食べ過ぎてしまいます。レプチンやグレリンなどのホルモンのバランスが乱れると食欲をコントロールできずに、肥満につながる可能性が高くなります。

③オレキシン
 3つ目は、交感神経を活性化させる覚醒物質、「オレキシン」です。お腹が空くと頭が冴え、逆に満腹になると眠たくなる感覚は、オレキシンが作り出しています。
 夜になると自然に眠くなり、朝になると自然に目覚めるのは、睡眠や覚醒をコントロールするオレキシンが正常に分泌しているおかげです。
 また、オレキシンはエネルギーバランスを調整するうえでも、重要な役割を果たしています。覚醒物質のオレキシンは交感神経を高めると同時に、空腹感を満たすよう食欲増進ホルモンのグレリンに脳内で指示をしています。オレキシンが分泌されることで、グレリンだけでなく、脳内の様々なホルモンの分泌を調整しているので、オレキシンが正常に機能することがとても大事です。

 オレキシンは生活リズムに即して分泌されます。そのためオレキシンがしっかり作用するためには、体内時計が正しいリズムを刻んでいることが重要です。

 毎日規則正しく生活し体内時計を整えることで、オレキシンが生活リズムに即して分泌され、睡眠と食欲をコントロールします。

 肥満対策の鉄板は、睡眠、食事、運動の3つの軸が強固であることです。この3つがプラスに作用するためには、まずは睡眠から取り組むとダイエットに成功する確率が高くなるかもしれません。

 しっかり睡眠をとることで、食欲ホルモンをコントロールしつつ、適度の運動を取り入れましょう。早速、今夜から良い睡眠を心がけてみてください。

(6)美容のために その2

さいち:美容鍼治療でお越しになるお客様で、特にこれは20代の方に多いのですが、「寝不足で肌荒れが…」というお話をよくお聞きします。睡眠不足はなぜ肌荒れの原因となるのでしょうか?また、お肌を健康に保つための理想的な睡眠時間はどのくらいでしょうか?

須賀:

 美容に興味があれば、肌のきめの細かさやみずみずしさは、永遠に維持したいものです。肌は常に新しい組織が古い組織を追い出すターンオーバーを繰り返しています。ターンオーバーが遅れると、メラニン色素が肌に残り続けてシミやくすみの原因となってしまいます。また、古い角質が排出されずに残ると、子どものようなみずみずしい弾力のあるプルンプルン肌とは程遠い、硬くゴワゴワした肌となり、肌荒れの原因にもなります。

 加齢により若い頃に比べて新陳代謝が進まないと、肌だけでなく、頭皮や髪の環境にも影響を与え、見た目が老けて見えてしまいます。年を取ると自然の現象で誰でも新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が低下します。成長ホルモンが十分に分泌されないと、新陳代謝も滞り、肌の細胞分裂が進みません。

 成長ホルモンは、ノンレム睡眠(深い睡眠)中に分泌されるホルモンです。ノンレム睡眠とは、睡眠時間の総量(長さ)ではなく、睡眠の段階(深さ)を表しています。成長ホルモンは、最も深い睡眠段階(ノンレム睡眠ステージ3、4)で、最も多く分泌され、約90分毎の睡眠サイクルの一番の始めに多く出現します。一昔前は肌のゴールデンタイムの夜中の12時前に寝るのが良いとされていましたが、それは間違いです。実際は、眠り始めの90分に最も成長ホルモンの分泌が多いということなので、入眠時間によって毎晩ゴールデンタイムは異なります。

 大人が期待する成長ホルモンの役割は、主に体の修復であり、疲労回復や新陳代謝の促進です。深いノンレム睡眠がしっかりとれていると、睡眠により疲労回復も期待でき、免疫力もアップします。ノンレム睡眠の出現時間は加齢とともに自然減少します。睡眠の深さを年齢別でみると、歳をとるにつれ、ノンレム睡眠ステージ3、4という深い睡眠まで至らない浅い睡眠を一晩に何度も繰り返します。なので歳をとると、「寝てもなかなか疲れがとれない」と感じるのも、深いノンレム睡眠が十分にとれていないのが原因です。

 「眠りたいけど、眠れない」と感じている場合は、深い睡眠をしっかりとれるように「寝る準備」をベッドに入る前から意識することがとても重要です。特に、寝る30分前ぐらいから、寝る準備を行うとスムーズに眠りに入りやすくなります。

 トップアスリートも最高のパフォーマンスを出すために、試合の前にしっかりと準備運動を行います。トップアスリートほど、試合前の準備を入念にしているため、試合中はしっかりとパフォーマンスを出すことに集中できるのです。睡眠のパフォーマンスにも同じようなことが言えます。

 では、自分の睡眠のパフォーマンス(=しっかり寝ている)を振り返ってみてください。入眠後の最初の90分睡眠サイクルで最高(最深)のレベルに達するために、自分が出来る「寝る準備」とは一体何でしょうか。

 それは、高価なサプリメントでも有名な寝具でもなく、起きている時、すなわち日中をどう過ごすかがポイントです。睡眠と覚醒は表裏一体であり、日中のパフォーマンス(しっかり起きている)が高い人ほど、睡眠のパフォーマンスも高いのです。逆に言えば、睡眠のパフォーマンスが高い人ほど、日中のパフォーマンスが高いのです。では、どのように日中を過ごすのが良いのでしょうか?

 ここで、快眠のために出来ることを4つご紹介します。

《 最深睡眠を捉えるためにできる4つの習慣 》

①生活リズムを整える(毎日同じ時間に就寝・起床をする)
 従来人間に備わっている体内時計が一定のリズムを保つことがとても重要です。一定のリズムを保つには、毎日同じ時間に就寝・起床することが重要です。特に寝不足だからといって、週末に寝だめ・夜更かしをすると、生活リズムが狂い、その結果、ホルモンを分泌させる体内時計も狂ってしまいます。しっかりホルモンを分泌させるために、平日も休日も一定の生活リズムを刻み、体内時計をしっかり機能させましょう。

②しっかりと起きる(適度に体を動かす)
 深い睡眠を期待するのであれば、日中はしっかりと活動して、生活リズムを強固なものにしましょう。子供達は日中に光を浴びて体を動かすので、夜はぐっすり眠ります。それは大人にも同じことが言えます。
 ただし強い運動は、寝る4時間前までに行いましょう。過度な運動は交感神経を高めるので、かえって眠気を覚まします。強めの運動は夕方までにして、それ以降はゆったりとリラックスして過ごすライフスタイルを心がけてください。
 運動は睡眠の質を上げることで、認知症予防や、うつ病などのメンタルヘルスにもとても効果があるのが実証されています。ウォーキング程度の軽めの運動でも十分なので、できるかぎり日中に体を動かしましょう。

③栄養バランスの取れた食事をとる(メラトニンの材料と摂取する)
 夜の睡眠の質を高めるには、栄養バランスのとれた食事がとても重要です。食事から必須アミノ酸のトリプトファンを摂取します。特に朝ごはんは、睡眠に大きな影響を与えます。
 たとえ忙しくて時間がない人も、牛乳・バナナ・納豆などは、気軽に取り入れられるでしょう。朝ごはんからトリプトファンを摂取することで、脳内の神経伝達物質セロトニンの合成が促進されます。セロトニンは、光を感じると、質の良い眠りをもたらすメラトニンを生成します。快眠のためにはメラトニンがしっかり分泌されることが大切なのですが、メラトニンの元となるセロトニン、そして、セロトニンの元となるトリプトファンを朝食で摂取しましょう。

④寝る前は、暗室でリラックスする(副交感神経を優位にする)
 寝る30分前ぐらいからは、室内を暗くし、IT機器の使用を控えてください。そして一日の終わりを楽しみながら、自然な眠気を誘いましょう。始めの90分の睡眠サイクルで、より深い睡眠をとるために、寝る前の過ごし方はとても大切です。自然と眠くなった頃合いを見計らってベッドに入ると、より気持ちよく眠れるようになります。

 自分の生活に、最深睡眠を捉えるためにできる4つの習慣を取り入れてください。寝ている時間にしっかりと体を修復することで、健康的で若々しく保ちましょう。

 質の高い睡眠を取って、肌も髪も艶々で、キレイな自分を楽しみましょう。

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須賀先生、本当にありがとうございました(^^♪

毎日を丁寧に生活する事が、優秀な「睡眠」パフォーマーになるための条件であり、優秀な「睡眠」パフォーマーこそが日中に最高のパフォーマンスを成せるのですね!

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アルルネ鍼灸治療サロン
さいち

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